
〈岐阜〉
2020.03.30
岐阜県下呂市の倉地製材所さんをご訪問
岐阜県下呂市の有限会社倉地製材所さんをご訪問しました。
県の82%を森林が占める岐阜県
県の82%を森林が占める岐阜県。
「東濃桧」として知られるヒノキの資源量は13万立方メートルと、高知県についで全国第2位だそうです。
東濃桧は、通直、正円、狭い年輪幅、ピンクで艶のある材質、無節または小節、香り高い、材にねばりがあるなどの特徴があり、杉は「長良杉」として、秋田杉や屋久杉と並んで人気があるそうです。
以前、ヤマジョウ建設・長屋社長に「製材」についてお話を伺った折に「木について知っておいて損はないよ」「製材所に話しておくから実際に見てみるといいよ」と勧められ、見学させて頂く事となりました。
私たちには「伐採された木を製材する」という漠然としたイメージしかなく、内心ご迷惑ではないかと心配していましたが、そんな私たちを笑顔で出迎えて頂いたのは、倉地製材所代表の倉地社長様です。

丸太の皮むき
リングバーカーという機械で丸太の皮をむき、径級、長さごとに分けられます。
剥いた皮も無駄なく利用されます。細かく粉砕されて堆肥等に利用されるそうです。

小径木から大径木まで5台の製材機で対応
倉地製材所さんでは、岐阜県で生産する「小径木から大径木まで」幅広く受け入れできる体制を整えているそうです。
「一定サイズの木だけを扱う方が効率的、だけどそれでは山の木が無駄になる」と倉地社長。
丸太は径級や長さにより5台の製材機に振り分け製材されます。


一本の木から柱が取れる割合は約45%?
「一本の木から柱が取れる割合はどの位だと思うか?」と倉地社長。
私たちは「70%程度」「いや80%位」と感覚で答えましたが、やはり全員不正解でした。
一見まっすぐ伸びているように見えても、木には必ず曲がりや反りがあります。
一本の木から柱が取れる割合は約45%程度という説明に私たち一同驚きました。
「真円で真っすぐな丸太」と仮定した場合でも約48%だというお話しです。

巨大な丸太や大黒柱に圧倒される
プレカットでは対応できない大丸太や大黒柱など、熟練した職人さんの手加工による作業も行っていました。

モルダー加工、自動4面カンナ仕上げ
蒸気式乾燥機で8日~12日かけて15%~20%以下の乾燥材に仕上げていきます。
その後、モルダーや自動4面カンナと呼ばれる機械で、正確な寸法に仕上げていきます。

グレーディング検査
製品の含水率と強度を、全国木材検査研究協会で認められている測定機器を使用し測定します。
測定された数値は、JASの機械等級区分で木材に1本1本印字されます。

プレカット加工
大工さんの注文に従って、構造材の仕口加工などを機械で行います。
建築現場での加工を減らすことで、工期短縮や加工精度の向上、廃材の削減に繋がります。

ペレットストーブの燃料
おが屑は専用の機械でペレットストーブの燃料に加工されます。

木屑は乾燥機の燃料として利用
端材や木クズは乾燥機の燃料になるので、無駄にする部分はありません。

熟練職人による帯ノコ刃の目立て作業
倉地製材所さんでは、摩耗した帯ノコの刃を自社で目立てしています。
熟練職人さんによるアサリ加工※と研磨を見学させて頂きました。※刃の先端にステライトという金属を溶接する
石や鉄砲の玉など異物が原因で刃が欠けてしまう事もあるそうなので、予備は常に用意しておかないといけないようです。

国産材の普及を考える
外国の広大な大地に植わっている伐採林と、日本のように主に急斜面に植わっているのでは作業性もコストも著しく異なります。しかも「怪我の危険すら伴う」場合もあるというお話でした。
国産材を扱う製材所としては五指に入ると評判の倉地製材所さんですが、ご苦労は察して余りあるものがあるようです。
因みに、会社の敷地内にシンボルツリーとして植わっている三本の杉は、倉地社長が幼稚園の頃に植えたものだそうです。倉地製材所さんの歴史を感じますね。

JAS、ぎふ性能表示材、SGEC「緑の循環」認証などに基づき、倉地製材所さんでは徹底した品質管理の元で製材されています。
私たちは専門的知識に乏しく、素人同然の取材レポートとなりましたが、このレポートを通じて国産材に興味を持って頂けたら幸いです。
お忙しいところご案内頂いた倉地社長様をはじめ、その他スタッフの方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。