〈福島〉
2020.03.30
福島県南会津の星工務店さんをご訪問
福島県南会津の株式会社星工務店さんをご訪問致しました。
星工務店さんは昭和33年に創業され、半世紀に渡り福島県南会津地域を中心に活動されています。
お忙しいところご対応頂きましたのは代表の星社長様です。
「伝統工法に学び、新しい技術へ」
星工務店さんのキャッチフレーズ「伝統工法に学び、新しい技術へ」は「温故知新」の考え方に由来するそうです。
会津には、国の重要文化財である御薬園など伝統的な建造物が多く点在し、星工務店さんはそれら重要文化財の移築・復元工事などにも携わっていらっしゃるそうです。
「茅葺き屋根」「木羽葺き屋根」などの伝統技法を伝承する一方で標準UA値が0.25と高性能なネット・ゼロ・エネルギー・ハウス (ZEH)も手掛けていらっしゃいます。
「UA値0.22超高性能ZEHの家」
昨年2017年に建築されたモデルハウス「UA値0.22超高性能ZEHの家」を見学させて頂きました。
シルバーに輝く、モダンな建物が私たちを出迎えてくれました。
南会津地方は寒暖の差が大きく、夏は暑く、冬は豪雪で知られています。
星工務店さんが実施している来場者アンケートによると、現在のお住まいに対して8割以上のお客様が「暑さ」「寒さ」について不満を抱えているそうです。
「日射が少ないA2地域では太陽光の発電量は期待できない。エネルギー消費量そのものを減らさないといけない」と星社長。
「そのためには高断熱化が不可欠であり、断熱材の厚みと密度が重要なポイントになる」とネオマフォームの断熱性能に期待されています。
こちらのモデルハウスの壁は、ネオマフォーム外張り100mm&内充填80mmのダブル断熱仕様でUA値0.22という断熱性能を実現されています。
星工務店さんのZEH住宅は標準UA値は0.25と国内トップクラスの住宅性能です。ランニングコストの面においても優れているのは言うまでもありません。
装備においても「床暖房」「ハイブリッド給湯器」「ダクトレス換気」採用と充実しています。
【 断熱のすすめ 】→ 住まいと省エネについて
「新在来パネル工法」
施工現場は天候の影響を受けやすく、特に南会津地方における冬場の降雪は施工スケジュールに大きな影響を与えます。
星工務店さんがパネル加工メーカーと共同開発したオリジナルの構造用パネルには、弊社のネオマフォームが充填された状態で現場に納入されます。
フレーム部分には歪みや割れが殆どないLVL材を採用し、施工品質の均一化と工期の短縮を同時に実現されています。
これが省エネルギー性と耐震性を兼ね備えた「新在来パネル工法」です。
こちらの現場は上棟から5日目で透湿防水施工を終えていました。※3人で作業
「豪雪への備え」
透湿防水シートの上に通気胴縁が取り付けられている様子を見学していた時、星社長から「一階の取り付け間隔と二階付近の取り付け間隔が異なるのは何故だと思う?」とクイズが出されました。
言われてみれば一階付近と二階付近では通気胴縁の取り付け間隔が違うのが判りますが、即座に理由までは判りませんでした。
答えは「雪が積もって壁を圧迫するから」でした。豪雪地帯ゆえの地域特性ですね。
「オール電化住宅はやらない」
星工務店さんには「オール電化住宅はやらない」というモットーがあるそうです。
その理由は「万一の自然災害などで電気が遮断されたらどうなる?」「家は電化製品ではない」と星社長。
「例え望まれてもお勧めできないものはお断りする」これがお客様の保護に繋がると星社長は語ります。
星工務店さんの経営理念は「顧客の創造と保護」だそうです。
「手書きPOPで建築に重要なポイントを解説」
星工務店さんでは「見て、触って、確かめて」と構造見学会を積極的に行っていらっしゃいます。
まず現場に入って最初に目に飛び込んでくるのは手書きのPOPでした。
「構造や断熱施工の様子など細部をじっくり見学して欲しいので営業トークは一切禁止している」「集中したい時に話しかけられたら迷惑なだけ」と星社長。
「気密と断熱の重要性」「住宅を車に例えて解説」などなど、自社の強みや特徴だけでなく、工務店の選び方にまで解説は及んでいます。
私たちも取材を忘れて思わず読み入ってしまいました。人によっては2時間程度、もっと長時間滞在する方もいらっしゃるそうです。殆どの方が写メを撮って行かれるというお話も頷けます。
年間150万人を動員する北海道旭川市の旭日山動物園の手書きPOPを思い出しました。
「次の完成見学会はいつですか?」「UA値はいくつ?」
星工務店さんでは、ZEH住宅以外の住宅もUA値標準は0.35と国内トップクラスです。
厳しい環境ゆえの地域特性かもしれませんが、星工務店さんのお施主様は坪単価やデザインよりも、住宅性能そのものを気にされる方が多いそうです。
星工務店さんの完成見学会には毎回大勢の方がご来場されるそうですが、その人気の秘密が、丁寧にこだわりポイントを解説したこれらの案内チラシです。
完成見学会を心待ちにしていて「次の完成見学会はいつですか?」と声を掛けてくる地域住民の方も多いそうです。注目度の高さが伺えますね。
「地元建築業全体の底上げを図る」
星社長は「自分たちの経験をもっと若い世代と共有したい」と、地元で建築に取り組む若手大工さんや工務店さんを応援するお気持ちを語っていました。
地域のお施主様にとっても良い事ですね。
あっという間にお時間となってしまいました。お話の続きはまたの機会にお聞かせ下さい。
お忙しいところご案内頂いた星社長様をはじめ、現場スタッフの方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。